Artist stories 〜五十嵐 岳〜

こびとを通じて笑顔を届けるアーティスト

今回は小人(こびと)とハッピーピープルという愛くるしく、ほっこりとするキャラクターをメインテーマに描き、子供から大人まで幅広い人々に作品を通じて笑顔を届け続けるアーティスト五十嵐 岳さん(以下、岳さん)にお話しを伺います。(聞き手:ENOAL 天羽)

天羽:岳さん今日はよろしくお願い致します!

岳さん:こちらこそよろしくお願いします。

天羽:まず最初に、なんとも可愛らしいキャラクターの「こびと」が印象的なのですが、こちらはずっと一環して描かれているのでしょうか?

岳さん:はい、かれこれ10年以上にわたり描き続けているテーマです。

小人を描くきっかけは保育の現場から

天羽:こびとを描き始めるきっかけというのは何かあったのでしょうか?

岳さん:はい、僕は小学校3年生のときから30才までオーストラリアに住んでいて、そこで保育士として働きながら子供たちに絵を描いたりしていたのですが、そこでのある出来事がきっかけでこびとを中心に描き始めるようになったんです。

天羽:ある出来事、気になりますね。笑

岳さん:はい。オーストラリアでは12月が卒業シーズンなのですが、ハロウィンのあたり、ちょうど卒業間際の時期にオランダ人の子供が保育園にやってきたんです。その時はもう仲良しグループができていて、オランダ人の子供は英語ができずにずっと泣いていたんですね。お母さんと離れたくないって。

そこでこびとのコラージュ(小さい人形)を何個も作り、教室やいろいろなところに隠して、子供たちに見つけてもらうようにしました。(大人の僕にはこびとは見えないという設定にして。)

オランダ人の子は何をしたらいいのかわからない様子だったんですが、他の子がこびとを探している様子はなんとなくわかっているようでした。

ある時、そのオランダ人の子が足元にみどりの小人を発見したんです。そうしたら周りの子が笑顔で駆け寄ってきたんですね。オランダ人の子はみんなが笑顔で話してくれたので、自分が何かいいことをしたと捉えてくれました。

(エルフくん=こびとの像)

その時を境に、泣くこともすっかりなくなり、友達と打ち解けて卒業することができました。元々はサンタクロースとお手伝いのこびとだったのですが、サンタクロースがいつの間にかいなくなって、こびとだけになっていきました。この時に小人という子供でもわかりやすいテーマですが、そこにいろいろな可能性を感じました。

天羽:すごくいい話ですね!まず岳さんの保育の能力にもびっくりです。保育のお仕事は現在もされているのですか?

岳さん:すこし前まで保育の仕事とアートの仕事を両立していたのですが、最近は保育の仕事はやめて、アーティストとしての活動だけにしています。保育の仕事は大好きなので、やっぱり少し寂さはあります。

天羽:最近は特に個展やグループ展、企業とのタイアップなども精力的にされていますね。

岳さん:おかげさまでお声をかけて頂く機会も増えて、東京だけでなく地方やコロナ前はNYやアジアなど海外でも展示させて頂きました。

天羽:利森酒造さんの日本酒ラベルも、森パールさんとのコラボレーションもすごく素敵でした。

岳さん:ありがとうございます。みなさんいいものを作られていて、いい仕事をされています。僕と共通する考えやお互いに共感できるところがあった時に一緒にお仕事ができるのは嬉しいですし、新しい発見もあって楽しいですよ。

(作品の購入者へ段ボールまでこびとを描き梱包する岳さん)

作品を見た人に「笑顔」になってもらいたい

天羽:岳さんの作品をどんな人に見てもらいたいとか、どんなことを感じてもらいたいというのはありますか?

岳さん:僕の作品は小さい子供から大人、おじいちゃんおばあちゃんまで楽しんで頂ける作品かなと思っています。ずっと一環して、作品を見た人に「笑顔」になってもらいたいというのがあるんです。「笑顔」ってぼく大好きなんですね。こっちまで嬉しくなれるし。なので作品を見て楽しく笑顔になってもうということが一番の願いかもしれません。

天羽:確かに、笑顔って周りの人まで幸せにしてくれますよね。絵を描く上で大切にしていることや考えていることはありますか?

岳さん:3つの言葉「LOVE、SMILE、KINDNESS」というのをキーワードにいつも心に留めています。

天羽:アートに携わっていて、何か印象的な出来事というのはありましたか?

岳さん:はい。少し前の個展での出来事なのですが、大学生の女の子が初日に僕の作品を買いたいと言ってくれて。値段も安くはない作品で、そのまま購入されないケースも多いのですが、最終日にその子がお金を封筒に入れて持ってきて、本当に作品を買ってくれたんです。

僕が「この作品はどうするの?」と聞いたらその子が「お母さんにプレゼントします」と言っていたんです。なんて素敵な子なんだと思いましたね。

天羽:それはまたすごくいい話ですね。アート作品を親にプレゼントするって素敵ですね。

岳さん:喜ぶ顔が見られると僕も嬉しいので、やっていてよかったな思います。

天羽:岳さんは展示会に来られた方お一人お一人にメッセージカードを渡されていると思うのですが、正直大変ではないのかなと思うことがあります。どういった思いでされているのでしょうか。

岳さん:メッセージカードは感謝の思いを伝えるために描いてお渡ししています。やっぱり皆さん交通費などもかけてわざわざ見に来て下さるので。お渡しするとみんな喜んでくれるので、僕も嬉しいんです。

(お客さんにメッセージカードを描く岳さん)

天羽:作品を描くにあたり影響を受けたものや好きなアーティストの方はいますか?

岳さん:クラシックディズニー、ジブリ、ムーミン、絵本などに影響を受けていると思います。またアーティストでは、ドッグアーティストのEiji Tamura さんはすごくかっこよくて、大好きで尊敬しています。写真家の大杉 隼平君も僕のアーティストしてのあり方に大きく影響していますね。      

天羽:プライベートでの趣味やアート以外で好きなことはありますか?

岳さん:ライブに行くこと、観劇、写真、映像を撮ること、フットサル、バイオリンなど趣味はいろいろあります。

行き詰まったらとにかく動く

(カラフルなこびとをあしらった非売品のスニーカー)

天羽:作品を描いていて行き詰まることはありますか?またそれを打開する方法はありますか?

岳さん:そうですね、描いていてワンパターンになっているな。と思うことはあります。そんなときは落書きをたくさん描きます。そして描くのとは違う趣味をたくさんやったり、人と話すなかでアイディアをもらうようにして新たな作品を描いています。

天羽:行き詰まっても何かの形で動くことが大事なんですね。仕事においても通用することなので参考になります。ご自身の中でものの見方や捉え方について人と違うな、と思うことはありますか?

岳さん:アーティストとしてというよりも保育士として17年やってきて、保育士のときの感覚で絵を描いています。そういったところは他の作家さんとは違う部分かもしれないですね。

(こびととハッピーピープルを乗せた車を描いた作品)

アートには癒しや、豊かさ、人を笑顔にしてくれる力がある

天羽:アートが持っている力とは何だと思いますか?

岳さん:人を癒したり、豊かにしたり、心をあたたかくしたり、笑顔にしたりしてくれるもの。もちろんネガティヴな要素のアートも存在しますし、あっていいと思っています。

天羽:今後に関しては何か挑戦したいことや展望はございますか?

岳さん:当面は今やっていること(作品の制作、展示、ワークショップなど)を継続していきたいです。展示やワークショップを実施しながら世界の子供達とも関わっていきたいです。あとは各方面のブランドとのコラボレーションなどもやっていければ嬉しいですね。自分のやりたいアートと自然体でタイアップできる様な企画をやっていければと思います。

逆に、大きな仕事だからといって自分のコンセプトを曲げてのお仕事はやらないようにしています。

アートは繋がりを与えてくれるツール

天羽:最後に岳さんにとってアートとは何でしょうか。

岳さん:僕にとってアートは繋がりを与えてくれるツールだと思っています。同時に自分にとっても、自分を知ってる人も知らない人も作品を見た時に笑顔で幸せな気分にしてくものだと思います。笑っていて欲しいな。

天羽:岳さんありがとうございました。小人を描き始めたきっかけや、作品を描く際の想いを語って頂きました。お話しを伺っていても、作品を通じて「笑顔」になってもらいたいという強い思いがすごく伝わって来ました。実は岳さんがサンタクロースで、岳さんを手伝うためにこびとたちが笑顔を届けているのかなとさえ思えてきました。岳さんの人柄がそのまま描きだされている作品を是非、ENOALでのレンタルや購入を通じてお近くで見て頂ければと思います。

五十嵐 岳

幼少期から2010年までシドニーで過し、シドニーのチャリティーイベントやマーケットなどで絵を出展。
オーストラリアで保育士の免許を取得し保育士として働く。
日本に帰国後、幼稚園で英語教師として働きながら絵を描く日々。
その優しく鮮やかな絵は好評で各所色々なイベント呼ばれるようになる。
また活動の場を広げレストランやバーの壁画ペイント、広告のパンフレットやホームページに作品が使用される。

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