
Artist stories 〜Aki山〜
何かが生まれる前兆として「罅(ひび)」をテーマに描く
Aki山さんは都内で会社経営をする傍ら、作家として社長室で現代アート作品を生制作している。コロナ禍での作品制作するなか中で「罅(ひび)」の作風と出会う。罅は何かが生まれる前兆や動かなければならないきっかけであるととらえ、常に試行錯誤の中で自らのテーマとして描き続けている。
作品を描き始めたきっかけはなんですか。
2011年会社を企業したこた時期に作品の制作を開始しました。2020年のコロナ禍でアクリル絵の具と罅の作風と出会い、現在の自分のテーマとして描いています。
罅(ひび)を描かれるのは何か表現のテーマがあるのでしょうか。
新しい可能性を掴んで欲しいと思っていて、それが一番大きなテーマとなっています。罅は何かがが生まれる前兆であったり、建築もそうなのですが、罅が入ると補修をしたり何か動かないと行けないですよね。罅は動かないといけないきっかけだと思っています。
ひびをテーマにした作品
絵を描く上で大切にされていることはありますか?
躍動感や罅の見え方がどうきれいに見えるかということは考えて制作しています。最近は特に下地にこだわるようにしています。下地に使う素材であったり、凹凸をつけるなど以前は単純に色を塗るだけだったのですが、いろいろ変化をつけて試しています。
どんな時に作品を描きたくなりますか。
降りてくるというと変なのですが、そういう時があるんです。そういう時には描きたくなりますね。ただ、正直なかなか降りてこない。笑 なので、自分の中でルーティンとして定期的に触っているという感覚です。やっていく中で、「この形かっこいいな」という部分を切り出していくということをしています。
どの時間帯に制作をされていますか。
夜が多いです。日中はやはり仕事しているので、仕事終わりの時間で描いています。
プライベートでの趣味やアート以外で好きなことはありますか?
釣りが好きですね。実はアクリル絵の具を触ったのは釣りがきっかけだったんです。
アクリルを触ったきっかけを詳しく教えていただけますか?
はい、ルアーのカラーリングを変えておしゃれにしたいなと思った時に、アクリル絵の具を使ったらどうかと思ったんです。油絵具だと色が乗らないので。実際にアクリルでやったところ、綺麗に色がついて、そこから自分の作品にもアクリルを使ってみることにしたんです。
アクリル絵の具を触るきっかけになったルアー
好きな画家や憧れアーティストはいますか?
箱根にあるピカソ美術館でグレーで描かれた女性の作品を見た時に初めて、すごくかっこいい色だなと思ったんです。そこから好きになりました。中学の時はラッセンが好きでした。
Aki山さんにとって作品を描くこととは?
新しい挑戦をすることですかね。継続は力なりということもあると思っているので、そういう部分も意識して描いています。
道具や使用する画材のこだわりはあありますか?
アクリル絵の具はアムステルダムというメーカーのものを使用しています。罅に使用する画材に関しては企業秘密にさせてください。
Aki山さんが使用するアムステルダムのアクリル絵の具
アートが持っている力とはなんでしょうか?
今後ホワイトカラーがいなくなって、AIに変わられていくと言われる中で、AIでは出せないものがアートなのかなと思っています。人間ありきのもので、感動させることができるのも人間が作ったものだからこそなのではないかなと思います。
行き詰まることはありますか?その打開の方法はありますか?
失敗してやり直してのくり返しです。僕の場合は描き続けるということですね。失敗したら全部やり直します。
どれくらいの確率で失敗があるものですか?
特に小さい作品に関しては10枚やって8枚はやり直しています。笑 アクリルの場合、一回塗ったら乾いてしまうので、全部削ってまた塗っての繰り返しです。下地からやり直します。大きい作品だと修正をしながら続けることもあるのですが、小さいものは全部やり直しますよ。
10枚中8枚をやり直すという色鮮やかなAki山さんの小作品
アートで解決したい社会の課題や思いはありますか。
コミュニケーション能力を高めてほしいなと思っているんです。海外の方ってこの作品はいいよねとか、こうだとか、自分の意見をしっかり言い合いますよね。そういったことがアート市場が伸びる要因だと思っているんです。日本の場合は、誰かがいいと言った作品に目を向ける傾向がありますよね。そうではなくて自分の意見をしっかりと持ってもらいたいなと思っています。そうすれば日本のアート市場ももっと伸びると思うんです。
Aki山さんにとってアートとはなんでしょうか?
「僕が死んでもそこにあるもの」です。100年後200年後すごい値打ちになっているかもしれませんしね。考えるとロマンがあります。
Aki山
都内で会社経営を傍ら、「罅(ひび)」をテーマに社長室で作品を制作する。ビビットな色合いや罅のもつ独特で存在感のある作風が印象的。見る人に自身の可能性を掴んで欲しいという思いで、今日もキャンバスと向き合い挑戦を続けている。